
超絶お久しぶりです、安田です。
ブログ見たら、二年前とか……(汗)。
私生活がやたらめったら忙しく、最近になってようやく落ち着き、同人活動も再活動に至ることができたので、うはうはです★
二年の間に、萌えゲームがVitaminから薄桜鬼に(笑)。
そんでもって今の最萌えは三国恋戦記なんですけども(笑)。
仲謀が大好きすぎてどうにかなりそうです。
時間さえあったら……本だしていたのに!!!!!
本、といえば、実は夏コミに受かっております。
薄桜鬼ですけども。
西地区 け‐34a 【principe】

◆新刊
『モノグラム』B5/P32/500円/R18/原田左之助×雪村千鶴
宇都宮城に戻ったあたりのお話です。少々捏造しております。
三馬鹿勢揃いで暴れておりますよ~!
表紙は青木林子さんです★(たまらん原田)
◇本文のサンプルは一番下の「続きを読む」からどうぞ!
※「18禁」指定の本に関して。
こちらの判断で18才未満かと思われた方には免許証や学生証などの身分証明書の提示をお願いさせて頂く場合がございます。大変申し訳ありませんが、あらかじめご了承下さい。
◆既刊
『発売後だけどこんな本。』B5/P20/400円/翼×悠里本(VitaminZ)
『Dance with me』B5/P40/600円/R18/天十郎×真奈美、千聖×真奈美(VitaminZ)
『Just Melody』B5/P52/700円/R18/2008年5月~11月のコピー本再録本(VitaminX)
Vitaminの本も少しもっていきます~。
出せてないZ時代の翼×悠里&一×悠里本もいつかだしたい……。
お近くにお寄りの際は、ぜひ覗いてくださいね。
ただ安田は所要により欠席しておりますが売り子さんがいるのでご安心くださいませ(あ、青木さんもいらっしゃいませんよ~)。
ではでは!
よろしくお願いいたします。
◆サンプル・本文抜粋
「ったく、どこ行きやがったんだ、新八の野郎」
原田は舌打ち交じりに呟いて、早朝の廊下を歩いていた。
起きて、朝餉も食べたあと、ずっと一人の男を探している。
永倉新八。
試衛館から新選組で、隣に並び闘って来た仲間だ。
戦友とも親友ともいえる間柄だとも思う。
原田は彼に話したいことがあった。
しかし滞在している宇都宮城のどこを探しても、彼の姿は見えない。
途中で会う者達に話を聞いたが、何やら朝から忙しく走り回っているらしく、所在地がはっきりしなかった。
原田は後ろ頭を掻いて、嘆息する。
(『靖共隊』の副隊長を任命してから、あいつは俺より忙しくなりやがったからなぁ。ま、どっちかっていうと、その状況も意図的、だよな。俺は千鶴のことを優先していたから、あいつにそのしわ寄せがいってるってことだ)
原田の脳裏に、一人の少女の姿が浮かぶ。
自分のすべてともいえる存在。
雪村千鶴に惚れて、想いを通じ合わせてまだ日は浅い。
だが原田の中では、彼女以外の女が欲しいと思う感情は湧くことはない。
一生をかけて愛すると誓える女に出会えたからだ。
だから彼女が「羅刹」という血に飢えた化け物を生み出している父親を止めるため、このまま原田達とともに進まず、江戸に一人で戻ると告げた時、強引に引き止めた。
彼女は原田と永倉の絆を大切に想い、身を引こうとしてくれていたのは分かっていたからだ。
願うならば、永倉とずっと共に肩を並べ、闘い、進んで行きたかった。
だが、この宇都宮の地で、自分は選んでしまったのだ。
愛する女とともに生きることを。
(さっさと新八に話しなくちゃいけねえ)
昨夜、原田は千鶴と抱いた。
肌を合わせ、彼女の中に己を刻みつける。
それはある意味、自分にとって誓いだったのだ。
何があっても側にいて、守りきる。
自分の嫁にして、一生幸せにする。
彼女を抱くということは、その意志を貫き通すこと。
たとえ戦友との約束をたがえたとしても――。
「おっ! ここにいやがったのか、左之。探したぞ!」
どたどたと賑やかな足音をたてて、一人の男が原田に近づいて来る。
振り返らなくても誰かくらい分かる。
嫌というほど知っている、声と気配だった。
原田は苦笑しながら足を止めて、振り返る。
「それはこっちの台詞だ、新八。てめえこそ、どこうろついてやがった」
「は? 何だよ、お前も俺を探してたのか?」
「まぁ、な。お前に話があってよ」
「話ねえ。それって長くなるか?」
「……そうだな。簡単にはすみそうにないかもしれねえ」
「だったら、それ、ちょっと後回しにしてもらっていいか? 芳賀さんから用事頼まれてよ。お前の手も借りてぇんだ。これが終わったら必ず時間は取るからよ」
「用事?」
永倉は原田の肩に腕を回し、ぐいっと引き寄せる。
そして表情を真剣なものに変えて、小声で話しかけてきた。
「お前と千鶴ちゃんがこっちに来る前からちょいと騒ぎになってたんだがな。靖共隊の隊士を狙った辻斬りが横行していてやがる。そいつらは斬った奴らの血をすすってるのさ」
血という言葉に、原田の瞳がすっと細まった。
「……羅刹か」
「おう。俺もそう見当はつけてる。ただ『どっちの』羅刹か分からねえんだ」
どっちか――。
永倉が言いたいのは、新撰組のものか、千鶴の父である綱道が新たに生み出したものか、判断がつかないということだろう。
「昼間に動きゃ、綱道さんの羅刹だが……」
「それが糞面倒なことにな、昼も夜も動きやがってんだよ。昼の羅刹は問答無用でぶった斬ってんだが、夜の羅刹は……どうもこう、剣先が鈍っちまうっていうか。胸糞悪くてなあ」
そう話す永倉は苦虫をつぶしたような顔をしている。
闇夜でしか活動出来ないのは、新撰組に属している羅刹だ。
そしてそれはかつて仲間だった者達。
永倉が斬ることに少しためらってしまうのも仕方ない。
彼はそういう義理がたいところがあるからだ。
しかし斬らなければ、自分が殺されてしまう。
生きるために、仲間だった羅刹を己の刃で切り裂くのだ。
どうしようもないとはいえ、やりきれないだろう。
「ま、いい気分はしねえわな」
「ああ。だが、こっちも仲間を殺され、数が減らされてる。しかも会津に向かって進行しなきゃならねえからな。だらだらしてる猶予が一つもねえんだ」
「なるほどな。それで俺の手が借りてえってわけか。そういう理由なら手伝わないわけにはいかねえな」
「おうよ。だいたい、左之は、千鶴ちゃんばっかに付き合ってんだからよ。たまには俺にも付き合えっての」
にかっと明るい笑顔を向けてそう告げる永倉に、原田は苦笑しながら、びしっと彼の額を叩く。
「出来るだけ遠慮してえな。むさっくるしい野郎より、千鶴の手伝いをしていたほうが、よっぽど俺の心が癒される」
「……お前は、ほんと女にだけは優しいよな」
「そういう男だってのは、知ってただろ?」
「違ぇねえ」
永倉は原田から離れると、笑いながら背中を叩いてくる。
「つーわけだ。これから城の周辺を見回るから付き合ってくれ」
「へいへい、分かったよ。ただ出かけることを千鶴に伝えてえからな。ちょいと待っててくれ」
「おう。城の門前にいるから、とっとと来いよ」
笑顔を残して、永倉が離れて行った。
その背中を見送りながら、原田は嘆息する。
「……千鶴に謝らねえとなぁ」
小さく呟いたあと、原田は千鶴がいる部屋へ戻って行った。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「へっ、平助ぇ?!」
「久しぶり、新八っつぁんに左之さん。元気そうじゃん」
城へ戻って来た原田と永倉は、部屋で千鶴とともに呑気にお茶を飲んでいた藤堂の姿を見て、目を丸める。
「お、お、お、お、お」
「悪ぃな、平助。新八、頭がおかしくなっちまったみてえだ」
「気にしてないよ。おかしいのはいつものことじゃん」
「言えてる。しかし、お前が来てるんなら、町に行って、いい酒でも買ってくりゃよかったな」
原田は笑いながら、畳の上に座る。
「今からでも遅くないと思うけどな」
「なにい? お前、俺に買いに行かせるつもりか? いい度胸じゃねえか、平助!」
原田が笑いながら、藤堂の首に腕を回す。
どうやら力が入っているらしく、藤堂はちょっと涙目になって離してくれと訴える。
「いたたたた! ちょっ、首! 首取れるって!」
「おうおうどうした、これくらいで悲鳴あげてちゃ、新政府の奴らに勝てやしねえぞ~」
「へ、へ、へ、へ……平助ぇえええ!!」
今まで小刻みに震えながら立ちつくしていた永倉が、原田もろとも藤堂を力いっぱい抱きしめた。
「いでででで! 新八っつぁん、いたいって!」
「新八! てめえ、俺まで巻き込むんじゃ……いってえ!」
「くそ~! 突然やってきやがって! なんだよ、こん畜生! 元気そうで嬉しいぞ、平助~~?!」
「ちょっ、本気で勘弁してよ、いててて!」
三人がもみくちゃになって暴れている姿を、千鶴は何も言わずに、ただ眺めていた。
邪魔したくない。
まるで新撰組にいた頃のように、仲良く暴れている三人を見ることが、これほどまでの安心感と幸福感を与えてくれるとは思っていなかったから。
(……叶わないことだと分かっているけれど、ずっと……見ていたいな)
原田の底抜けの笑顔が嬉しくて、そして同時に切なくて、胸が痛むのを、手で押さえて堪えた。
一通り騒いで落ち着いたところで、藤堂の口から宇都宮城へやってきた用件が告げられる。
「実は……新撰組から十人ほどの羅刹が逃亡したんだ。そいつらの中に一人、オレや山南さんくらいに自我がある男がいる。そいつが他の羅刹を率いて、新撰組とは別の組織を作ろうとしてるらしいんだ」
藤堂の話を、永倉と原田は静かに聞いていた。
「やっぱり、奴らは新撰組の羅刹だったのか……」
「だったって……気付いてたの?」
「平助。俺と新八は、城の周辺で悪さしている羅刹を止めるために、ちょうど見回りしてたとこなんだよ」
「……そっか。それで遭遇は?」
「それがちっとも現れねえんだよなー。隊士から聞いた話だと、夕方からうさんくさい男どもが、城の近くにある竹林の中をうろついているって話だったんだが」
顎を触りながら呟く永倉を横目に、藤堂が短く息を吐いた。
「じゃあ多分、標的を絞ったんじゃないかな。オレ、さっき城内で羅刹を斬ったから……」
藤堂の言葉に、二人の気配が張り詰めた。
それは少し後ろで静かに話を聞いている千鶴が息苦しいと感じるほどの、強く、鋭いものだ。
「城の中……羅刹が入り込んでたってのか?」
「二人には悪いけどさ、ここの裏門、警備が甘いよ。オレが忍びこめたくらいだしな。あれじゃ羅刹も新政府の奴らもあっさり忍び込める」
その言葉に、永倉と原田が素早く視線を交わし合う。
「……裏門か。門番の隊士を鍛え直しておかねえとな。新八、あとで報告してこい」
「おう。そうする。こりゃ隊士を鍛え直さねえとな」
「今以上に守りを固めておかないと、何か起きた時に大変だよ。現に、オレが間に合ったからよかったものの、羅刹は千鶴を襲おうとしてたんだぞ?」
藤堂の言葉に弾かれるように、原田が千鶴へ振り返った。
鋭い視線を受けて、千鶴の身体がびくっと震える。
怒りが滲む気配を受けて、少し脅えてしまった。
「あ、あの……」
「……千鶴。平助の話、本当なのか?」
「は、はい。あっ! でも平助くんが助けてくれたので、怪我はありません。大丈夫です」
「……そう、か」
しばらく千鶴を真っすぐ見つめていたが、彼女が怒られるのではないかとやけに緊張している様子に、ふう、と一息吐いた。
気分を切り替えた原田は、藤堂に向き直って、小さく笑う。
「ありがとうな、平助。助かった」
「千鶴を守るのは左之さんの役目だろ? 二度とあんな危険な目にあわせんなよ」
「……お前に言われるまでもねえ。二度目なんてあるわけがねえだろうが」
強い決意と少し苛立った感情が溢れる瞳で見据えられ、藤堂がやれやれと肩を竦める。
「……あのさ、左之さん。千鶴を守る役目を奪われたからって、オレに当たらないで欲しいんだけど」
「お前のおかげで千鶴が助かったし、それに関しては礼も言うが……面白くねえんだよ」
「心せまいぞ、左之。いやー千鶴ちゃんにかかると、島原で名をあげていた色男も台無しだなー」
「……島原で……」
「千鶴、新八の言うことを真に受けるんじゃねえ!」
千鶴に疑惑の瞳を向けられ、原田は少しだけ焦りながら、隣にいる新八の頭を平手で叩く。
「てめえ、新八! 千鶴にこれ以上、いらねえこと吹き込みやがると、ぶっ刺すぞ!」
「いってぇ……。おうおう、やれるもんならやってみやがれい! てめーの槍に串刺しになるほど俺は柔じゃねえぞ」
「左之さんも新八っつぁんもそこまでにしときなって。部屋の中で暴れたら迷惑だろー」
ぎゃあぎゃあと言いあい、睨みあう二人の間に入る藤堂の姿を前に、千鶴は原田の島原のことはとりあえず流しておいて、頭をよぎった疑問を、口に出した。
「でも……どうして新撰組から逃げた羅刹は、宇都宮城にやってきたんでしょうか? 彼らは血が欲しいんですよね? 城に来たら人が沢山いるから……?」
千鶴の質問に、原田と永倉を引き離しつつ、藤堂が答える。
「オレも奴らの動向については、千鶴と同じように不思議がってたんだけど、土方さんが言うには、奴は……新撰組のような組織を作りたがっているんじゃないかって」
「新撰組?」
「羅刹を率いている奴は、どうも幹部を目指してたみたいでさ。新撰組の隊士として働いていた頃、まぁまぁいい働きをしてたらしいんだ。だけど志半ばで斬り殺されちゃって……」
「なるほどな。組織を率いるような……つまり土方さんみてえな立場に憧れて、それで靖共隊に目を付けたってわけか」
永倉の襟元から手を話しながら、原田が呟く。
「ど、どういうことだよ?」
「つまり靖共隊を襲い、羅刹にしちまって、そのまままるっと組織をいただく寸法なんだよ」
その言葉に、永倉と千鶴が息を詰まらせた。
「でも……組織といっても靖共隊だけじゃありませんよね?」
「だよな。新政府軍や、それこそ旧政府軍だっているだろ」
「簡単な話だよ。どっちも羅刹の対抗手段をもってるから」
藤堂の冷静な声が、部屋に静かに響いた。
新政府軍では規模が大きく、襲うのも一苦労するだろう。
しかも強力な戦力と武器がある。
土方達がいる旧政府軍も同じだ。
だが靖共隊はまだ出来たばかりのうえ、羅刹に対抗する手段をもたない。
手っ取り早く、組織を手に入れることが出来るのだ。
「……本来なら山南さんとオレで片をつけるんだけど、こっちにそれほど人員避けられるような状況じゃなくてさ」
「だからって俺と左之に頼むか? まがりなきにも新撰組を見限って、おん出た奴らだぞ?」
「でも土方さんはさ『違う道を歩んでいたとしても、近藤さんの元で……試衛館で培った志は永遠に同じはずだ』って、言ったけど?」
不敵に笑いながら告げた藤堂に、原田も永倉も息を飲む。
脳裏に試衛館の日々が過った。
確かに土方の言う通りだろう。
この記憶が永遠に消えることはない。
自分達が惚れこみ、ついていった、近藤の示した『志』の光は、今もなお心の中で輝いているのだから。
原田が後ろ頭を掻く。
「……ったく。土方さんも卑怯な手を使うじゃねえか」
その呟きに、永倉がうんうんと深く頷いていた。
「まったく、左之の言う通りだぜ。俺達が断れないように道を最初っから塞いできやがるんだもんなあ。相変わらず抜け目ねえんだからよ」
「そりゃそうだよ。相手はあの鬼副長だぜ?」
にやにやと得意げに笑みを浮かべる藤堂に、完敗したというように、原田と永倉が両手を上げた。
「だな。仕方ねえ、手伝ってやるよ」
「平助、この借りはでかいからな?」
二人の言葉に、藤堂の表情が和らいだ。
「おう! でもその借りはオレじゃなくて、土方さんについてると思うから、あっちに払ってもらってよ」
「阿呆か。わざわざ甲府までいってられるか。お前が払え」
「左之さん、それ、ひどくない?」
「おっ、そうだ! 島原――って言いたいとこだが、ここにはないしな。平助、酒だ、酒! 酒買ってこい!」
「新八っつぁんもたいがいひどいな。あのね、オレ、土方さんにそれほど路銀貰ってないから、無理」
「無理でもやれ!」
「酒買ってこねえと協力しねえからな!」
「ひっど! 二人ともひっど!」
再び騒ぎ始める三人の光景を眺めていた千鶴は、また嬉しくなってしまって、口元にも笑みが浮かばせた。
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原田は舌打ち交じりに呟いて、早朝の廊下を歩いていた。
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原田は彼に話したいことがあった。
しかし滞在している宇都宮城のどこを探しても、彼の姿は見えない。
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原田は後ろ頭を掻いて、嘆息する。
(『靖共隊』の副隊長を任命してから、あいつは俺より忙しくなりやがったからなぁ。ま、どっちかっていうと、その状況も意図的、だよな。俺は千鶴のことを優先していたから、あいつにそのしわ寄せがいってるってことだ)
原田の脳裏に、一人の少女の姿が浮かぶ。
自分のすべてともいえる存在。
雪村千鶴に惚れて、想いを通じ合わせてまだ日は浅い。
だが原田の中では、彼女以外の女が欲しいと思う感情は湧くことはない。
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だから彼女が「羅刹」という血に飢えた化け物を生み出している父親を止めるため、このまま原田達とともに進まず、江戸に一人で戻ると告げた時、強引に引き止めた。
彼女は原田と永倉の絆を大切に想い、身を引こうとしてくれていたのは分かっていたからだ。
願うならば、永倉とずっと共に肩を並べ、闘い、進んで行きたかった。
だが、この宇都宮の地で、自分は選んでしまったのだ。
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「おっ! ここにいやがったのか、左之。探したぞ!」
どたどたと賑やかな足音をたてて、一人の男が原田に近づいて来る。
振り返らなくても誰かくらい分かる。
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原田は苦笑しながら足を止めて、振り返る。
「それはこっちの台詞だ、新八。てめえこそ、どこうろついてやがった」
「は? 何だよ、お前も俺を探してたのか?」
「まぁ、な。お前に話があってよ」
「話ねえ。それって長くなるか?」
「……そうだな。簡単にはすみそうにないかもしれねえ」
「だったら、それ、ちょっと後回しにしてもらっていいか? 芳賀さんから用事頼まれてよ。お前の手も借りてぇんだ。これが終わったら必ず時間は取るからよ」
「用事?」
永倉は原田の肩に腕を回し、ぐいっと引き寄せる。
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「お前と千鶴ちゃんがこっちに来る前からちょいと騒ぎになってたんだがな。靖共隊の隊士を狙った辻斬りが横行していてやがる。そいつらは斬った奴らの血をすすってるのさ」
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「おう。俺もそう見当はつけてる。ただ『どっちの』羅刹か分からねえんだ」
どっちか――。
永倉が言いたいのは、新撰組のものか、千鶴の父である綱道が新たに生み出したものか、判断がつかないということだろう。
「昼間に動きゃ、綱道さんの羅刹だが……」
「それが糞面倒なことにな、昼も夜も動きやがってんだよ。昼の羅刹は問答無用でぶった斬ってんだが、夜の羅刹は……どうもこう、剣先が鈍っちまうっていうか。胸糞悪くてなあ」
そう話す永倉は苦虫をつぶしたような顔をしている。
闇夜でしか活動出来ないのは、新撰組に属している羅刹だ。
そしてそれはかつて仲間だった者達。
永倉が斬ることに少しためらってしまうのも仕方ない。
彼はそういう義理がたいところがあるからだ。
しかし斬らなければ、自分が殺されてしまう。
生きるために、仲間だった羅刹を己の刃で切り裂くのだ。
どうしようもないとはいえ、やりきれないだろう。
「ま、いい気分はしねえわな」
「ああ。だが、こっちも仲間を殺され、数が減らされてる。しかも会津に向かって進行しなきゃならねえからな。だらだらしてる猶予が一つもねえんだ」
「なるほどな。それで俺の手が借りてえってわけか。そういう理由なら手伝わないわけにはいかねえな」
「おうよ。だいたい、左之は、千鶴ちゃんばっかに付き合ってんだからよ。たまには俺にも付き合えっての」
にかっと明るい笑顔を向けてそう告げる永倉に、原田は苦笑しながら、びしっと彼の額を叩く。
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「……お前は、ほんと女にだけは優しいよな」
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「違ぇねえ」
永倉は原田から離れると、笑いながら背中を叩いてくる。
「つーわけだ。これから城の周辺を見回るから付き合ってくれ」
「へいへい、分かったよ。ただ出かけることを千鶴に伝えてえからな。ちょいと待っててくれ」
「おう。城の門前にいるから、とっとと来いよ」
笑顔を残して、永倉が離れて行った。
その背中を見送りながら、原田は嘆息する。
「……千鶴に謝らねえとなぁ」
小さく呟いたあと、原田は千鶴がいる部屋へ戻って行った。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「へっ、平助ぇ?!」
「久しぶり、新八っつぁんに左之さん。元気そうじゃん」
城へ戻って来た原田と永倉は、部屋で千鶴とともに呑気にお茶を飲んでいた藤堂の姿を見て、目を丸める。
「お、お、お、お、お」
「悪ぃな、平助。新八、頭がおかしくなっちまったみてえだ」
「気にしてないよ。おかしいのはいつものことじゃん」
「言えてる。しかし、お前が来てるんなら、町に行って、いい酒でも買ってくりゃよかったな」
原田は笑いながら、畳の上に座る。
「今からでも遅くないと思うけどな」
「なにい? お前、俺に買いに行かせるつもりか? いい度胸じゃねえか、平助!」
原田が笑いながら、藤堂の首に腕を回す。
どうやら力が入っているらしく、藤堂はちょっと涙目になって離してくれと訴える。
「いたたたた! ちょっ、首! 首取れるって!」
「おうおうどうした、これくらいで悲鳴あげてちゃ、新政府の奴らに勝てやしねえぞ~」
「へ、へ、へ、へ……平助ぇえええ!!」
今まで小刻みに震えながら立ちつくしていた永倉が、原田もろとも藤堂を力いっぱい抱きしめた。
「いでででで! 新八っつぁん、いたいって!」
「新八! てめえ、俺まで巻き込むんじゃ……いってえ!」
「くそ~! 突然やってきやがって! なんだよ、こん畜生! 元気そうで嬉しいぞ、平助~~?!」
「ちょっ、本気で勘弁してよ、いててて!」
三人がもみくちゃになって暴れている姿を、千鶴は何も言わずに、ただ眺めていた。
邪魔したくない。
まるで新撰組にいた頃のように、仲良く暴れている三人を見ることが、これほどまでの安心感と幸福感を与えてくれるとは思っていなかったから。
(……叶わないことだと分かっているけれど、ずっと……見ていたいな)
原田の底抜けの笑顔が嬉しくて、そして同時に切なくて、胸が痛むのを、手で押さえて堪えた。
一通り騒いで落ち着いたところで、藤堂の口から宇都宮城へやってきた用件が告げられる。
「実は……新撰組から十人ほどの羅刹が逃亡したんだ。そいつらの中に一人、オレや山南さんくらいに自我がある男がいる。そいつが他の羅刹を率いて、新撰組とは別の組織を作ろうとしてるらしいんだ」
藤堂の話を、永倉と原田は静かに聞いていた。
「やっぱり、奴らは新撰組の羅刹だったのか……」
「だったって……気付いてたの?」
「平助。俺と新八は、城の周辺で悪さしている羅刹を止めるために、ちょうど見回りしてたとこなんだよ」
「……そっか。それで遭遇は?」
「それがちっとも現れねえんだよなー。隊士から聞いた話だと、夕方からうさんくさい男どもが、城の近くにある竹林の中をうろついているって話だったんだが」
顎を触りながら呟く永倉を横目に、藤堂が短く息を吐いた。
「じゃあ多分、標的を絞ったんじゃないかな。オレ、さっき城内で羅刹を斬ったから……」
藤堂の言葉に、二人の気配が張り詰めた。
それは少し後ろで静かに話を聞いている千鶴が息苦しいと感じるほどの、強く、鋭いものだ。
「城の中……羅刹が入り込んでたってのか?」
「二人には悪いけどさ、ここの裏門、警備が甘いよ。オレが忍びこめたくらいだしな。あれじゃ羅刹も新政府の奴らもあっさり忍び込める」
その言葉に、永倉と原田が素早く視線を交わし合う。
「……裏門か。門番の隊士を鍛え直しておかねえとな。新八、あとで報告してこい」
「おう。そうする。こりゃ隊士を鍛え直さねえとな」
「今以上に守りを固めておかないと、何か起きた時に大変だよ。現に、オレが間に合ったからよかったものの、羅刹は千鶴を襲おうとしてたんだぞ?」
藤堂の言葉に弾かれるように、原田が千鶴へ振り返った。
鋭い視線を受けて、千鶴の身体がびくっと震える。
怒りが滲む気配を受けて、少し脅えてしまった。
「あ、あの……」
「……千鶴。平助の話、本当なのか?」
「は、はい。あっ! でも平助くんが助けてくれたので、怪我はありません。大丈夫です」
「……そう、か」
しばらく千鶴を真っすぐ見つめていたが、彼女が怒られるのではないかとやけに緊張している様子に、ふう、と一息吐いた。
気分を切り替えた原田は、藤堂に向き直って、小さく笑う。
「ありがとうな、平助。助かった」
「千鶴を守るのは左之さんの役目だろ? 二度とあんな危険な目にあわせんなよ」
「……お前に言われるまでもねえ。二度目なんてあるわけがねえだろうが」
強い決意と少し苛立った感情が溢れる瞳で見据えられ、藤堂がやれやれと肩を竦める。
「……あのさ、左之さん。千鶴を守る役目を奪われたからって、オレに当たらないで欲しいんだけど」
「お前のおかげで千鶴が助かったし、それに関しては礼も言うが……面白くねえんだよ」
「心せまいぞ、左之。いやー千鶴ちゃんにかかると、島原で名をあげていた色男も台無しだなー」
「……島原で……」
「千鶴、新八の言うことを真に受けるんじゃねえ!」
千鶴に疑惑の瞳を向けられ、原田は少しだけ焦りながら、隣にいる新八の頭を平手で叩く。
「てめえ、新八! 千鶴にこれ以上、いらねえこと吹き込みやがると、ぶっ刺すぞ!」
「いってぇ……。おうおう、やれるもんならやってみやがれい! てめーの槍に串刺しになるほど俺は柔じゃねえぞ」
「左之さんも新八っつぁんもそこまでにしときなって。部屋の中で暴れたら迷惑だろー」
ぎゃあぎゃあと言いあい、睨みあう二人の間に入る藤堂の姿を前に、千鶴は原田の島原のことはとりあえず流しておいて、頭をよぎった疑問を、口に出した。
「でも……どうして新撰組から逃げた羅刹は、宇都宮城にやってきたんでしょうか? 彼らは血が欲しいんですよね? 城に来たら人が沢山いるから……?」
千鶴の質問に、原田と永倉を引き離しつつ、藤堂が答える。
「オレも奴らの動向については、千鶴と同じように不思議がってたんだけど、土方さんが言うには、奴は……新撰組のような組織を作りたがっているんじゃないかって」
「新撰組?」
「羅刹を率いている奴は、どうも幹部を目指してたみたいでさ。新撰組の隊士として働いていた頃、まぁまぁいい働きをしてたらしいんだ。だけど志半ばで斬り殺されちゃって……」
「なるほどな。組織を率いるような……つまり土方さんみてえな立場に憧れて、それで靖共隊に目を付けたってわけか」
永倉の襟元から手を話しながら、原田が呟く。
「ど、どういうことだよ?」
「つまり靖共隊を襲い、羅刹にしちまって、そのまままるっと組織をいただく寸法なんだよ」
その言葉に、永倉と千鶴が息を詰まらせた。
「でも……組織といっても靖共隊だけじゃありませんよね?」
「だよな。新政府軍や、それこそ旧政府軍だっているだろ」
「簡単な話だよ。どっちも羅刹の対抗手段をもってるから」
藤堂の冷静な声が、部屋に静かに響いた。
新政府軍では規模が大きく、襲うのも一苦労するだろう。
しかも強力な戦力と武器がある。
土方達がいる旧政府軍も同じだ。
だが靖共隊はまだ出来たばかりのうえ、羅刹に対抗する手段をもたない。
手っ取り早く、組織を手に入れることが出来るのだ。
「……本来なら山南さんとオレで片をつけるんだけど、こっちにそれほど人員避けられるような状況じゃなくてさ」
「だからって俺と左之に頼むか? まがりなきにも新撰組を見限って、おん出た奴らだぞ?」
「でも土方さんはさ『違う道を歩んでいたとしても、近藤さんの元で……試衛館で培った志は永遠に同じはずだ』って、言ったけど?」
不敵に笑いながら告げた藤堂に、原田も永倉も息を飲む。
脳裏に試衛館の日々が過った。
確かに土方の言う通りだろう。
この記憶が永遠に消えることはない。
自分達が惚れこみ、ついていった、近藤の示した『志』の光は、今もなお心の中で輝いているのだから。
原田が後ろ頭を掻く。
「……ったく。土方さんも卑怯な手を使うじゃねえか」
その呟きに、永倉がうんうんと深く頷いていた。
「まったく、左之の言う通りだぜ。俺達が断れないように道を最初っから塞いできやがるんだもんなあ。相変わらず抜け目ねえんだからよ」
「そりゃそうだよ。相手はあの鬼副長だぜ?」
にやにやと得意げに笑みを浮かべる藤堂に、完敗したというように、原田と永倉が両手を上げた。
「だな。仕方ねえ、手伝ってやるよ」
「平助、この借りはでかいからな?」
二人の言葉に、藤堂の表情が和らいだ。
「おう! でもその借りはオレじゃなくて、土方さんについてると思うから、あっちに払ってもらってよ」
「阿呆か。わざわざ甲府までいってられるか。お前が払え」
「左之さん、それ、ひどくない?」
「おっ、そうだ! 島原――って言いたいとこだが、ここにはないしな。平助、酒だ、酒! 酒買ってこい!」
「新八っつぁんもたいがいひどいな。あのね、オレ、土方さんにそれほど路銀貰ってないから、無理」
「無理でもやれ!」
「酒買ってこねえと協力しねえからな!」
「ひっど! 二人ともひっど!」
再び騒ぎ始める三人の光景を眺めていた千鶴は、また嬉しくなってしまって、口元にも笑みが浮かばせた。
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